家族信託の基礎知識
このようなお悩みはありませんか?
- 親の認知症による財産凍結が心配だ。
- 今後の財産管理について考え始めた。家族信託のメリットが知りたい。
- 将来の相続争いを避けたい。
- 二次相続まで財産承継を指定したい。
- 遺言や後見との違いが知りたい。
家族信託の流れ
家族信託を始めるためには、まず信託の目的を明確にすることが重要です。家族でしっかりと話し合いましょう。次に、信託財産の範囲、受託者の権限、信託期間などを決めて、信託契約書を作成します。
契約書作成後は公正証書化を行い、信託口座の開設手続きを進めます。不動産が信託財産に含まれる場合は、信託登記も必要です。これらの手続きを経て、信託業務が開始され、受託者による適切な財産管理がスタートします。
家族信託のメリット
家族信託の最大のメリットは、柔軟な財産管理が可能なことです。受託者が積極的な財産運用や処分を行えたり、遺言では指定できない二次相続以降の承継先も決められたりします。また、信託財産については遺産分割協議が不要になるため、相続争いを防ぐ効果もあります。
とりわけ家族信託の真価は、「認知症リスクのある人の生前管理」と「相続時の争い回避」がワンパッケージで実現できる点です。 このように、家族信託は、ご本人が元気なうちから将来にわたる財産管理を計画し、同時にご家族間の争いを未然に防ぐための強力なツールとなります。
家族信託は専門家への依頼がおすすめです。各家庭の状況に合わせた契約書の作成や、見落としがちな法的リスクへの対策、万が一の紛争発生時の対応まで、総合的なサポートを受けられます。
信託契約書作成の注意点
信託契約書の作成において最も重要なのは、信託の目的を明確に定めることです。認知症対策なのか、相続対策なのかによって契約書の内容は大きく変わってきます。
受託者の権限についても詳細に定めることが重要です。具体的に記載しておくことでトラブルを防げます。
なお、インターネット上のひな形をそのまま使用することは推奨されません。専門的な知識なしに作成すると、税務上の問題が生じたり、契約が無効になったりするリスクがあります
家族信託と遺言の違い
家族信託と遺言はどちらも財産承継の手段の一つですが、さまざまな違いがあります。
家族信託 | 遺言 | |
---|---|---|
効力が発生する時期 | 契約締結時 | 遺言者の死亡時 |
財産の承継先を決められる範囲 | 二次相続以降も可能 | 一次相続まで |
変更や撤回の自由度 | 原則として当事者全員の合意が必要 | 遺言作成者が自由に変更・撤回できる |
なお、同じ財産について家族信託と遺言の両方で異なる承継先を定めた場合、家族信託が優先されます。これは作成時期に関係なく適用されるルールです。
家族信託と後見の違い
家族信託と成年後見制度は、どちらも財産管理を他人にまかせる制度ですが、目的や仕組みが異なります。
家族信託 | 後見 | |
---|---|---|
開始時期 | 委託者が元気なうちから | 判断能力が低下してから |
管理の自由度 | 信託契約で定めた範囲内で柔軟な財産管理が可能 | 本人の財産を守ることが最優先、積極的な運用や処分は制限あり |
費用 | 初期費用あり、月額費用は基本的になし | 初期費用(申立費用)は比較的安価、月額数万円の報酬が継続的に必要 |
早めに準備をしておきたい場合は、家族信託がおすすめです。
信託の活用例
高齢の両親が将来の認知症に備えたいケースでは、両親を委託者兼受益者、子どもを受託者とする家族信託を設定します。両親が認知症になっても、子どもが信託財産を管理し、両親の生活費や医療費を支出できます。必要に応じて不動産の売却も可能で、売却代金を施設入所費用に充てることも可能です。
将来起こり得る相続の対策として
子どものいない夫婦において、夫が「自分が亡くなったら妻に財産を承継させ、妻が亡くなったら『おい』に承継させたい」と考えるケースがあります。遺言では妻の次の承継先まで指定できませんが、家族信託を活用すれば、このような希望を実現できます。
事業承継の準備として
現経営者が後継者に株式を信託することで、株式の名義と「経営権(議決権)」を後継者に移しつつ、現経営者に「指図権」を設定できます。これにより、実質的な経営者は現経営者のままとなるため、後継者を育てつつ、段階的な経営移譲が可能となります。
当事務所の特徴
福本法律事務所の弁護士は司法書士資格も有しているため、家族信託で必要となる信託登記や不動産の名義変更に精通しています。総合的なサポートが可能です。
また、WEB会議システムを活用したオンライン相談を実施しており、全国どこからでもご相談いただけます。電子契約サービスを活用することで、遠方のお客様でもご来所いただくことなく、契約締結まで完了できます。
多言語対応も当事務所の強みです。英語、中国語、広東語での対応が可能なため、外国籍の方や海外在住の方でも安心してご相談いただけます。初回相談は60分無料ですので、お気軽にお問い合わせください